退職エントリ:母校(高専)の教員を辞めた話

 

辞めた理由は、早い話が校長のハラスメントです。

 

記憶は自分の都合のいいように改ざんされるものですし、明らかに私は相手を悪しざまに言ってやろうというバイアスがかかっていますし、自分に都合の悪いことは言わないようにしますから、内容についてはそういう視点で読んでください。あと、毒を吐き出し切るために後半はだらだら書いてしまいますので、はじめに簡単にまとめておきます。

 

・教員になった経緯。母校でお休みされる先生の代理の任期付き教員の公募が出たため応募、採用される。任期の間に運良くパーマネント(任期の定めなし)の公募が出て運良く採用されることを目指す

・運良くパーマネントの公募が出る

・校長は「うちでは公募出せるかわからないからよそを受けろよ」とばれないはずがない嘘をついてまで妨害

・しかし自分、当然母校のパーマネントポストの公募に応募する

・待てど暮らせど書類選考通過とも不採用とも通知が来ない。

・ある日突然職務中に校長に呼出しをくらい行くと不採用にした旨と面接をしなくても能力はわかっているので面接しなかったことを告げられる。

・結果はともかく通知がないのはおかしくないですかと言うとそれはこの学校の慣例だと思うとのこと。

・後で調べたら慣例でもなんでもなくて校長が通知を止めていただけとわかる。他の候補者には書類選考の通過、不通過もその時点で通知済み。最終選考の結果も採用者が決まったあと速やかに書類選考通過者には通知が送られている。結局自分だけ何故かサイレントお祈りされていた。

・その後、その公募の採用者が辞退したため再公募が出る。

・前の公募時の謎の扱いでやる気は失っていたがとりあえず応募する。

・今度は面接するとのことで書類選考通過の通知が来る。

・面接の結果、(パーマネントの)採用内定が出る。

・クソジジイどもの下で働く気になれなかったので内定辞退して教員を辞めた。

 

となります。簡単にまとまりませんでした。ごめんなさい。

 

私がハラスメントだと思っているのは以下のことです。

・公募情報について虚偽の情報を伝えて任期付き教員である私の就職活動を妨害しようとしたこと

・他の候補者と異なり私にだけ書類選考を行わなかったこと

・他の候補者と異なり私にだけ速やかな結果通知を行わないよう指示し差し止めたこと

・前記事項を問われた際に嘘をついたうえ、私の就職に自分の影響力があることを示しそれ以上の反論を封じたこと

 

一応然るべき場所に「こんなのもうハラスメントでしょ」って意見は出したけど、これこれこういう理由でハラスメントとは考えませんとも、ハラスメントでしたごめんなさいとも返答がなかったので、こっちとしてはハラスメントだと思ってますよということでここに書いてます。

 

辞めた奴が今更ごちゃごちゃ言うな、学校の中の人は頑張ってんだ、と言われたらそれはその通りなのでごめんなさいとしか言えませんけど、僕はいまだにたまに思い出してイラっとして、やっぱり刃傷沙汰起こして火をつけて服役してからシャバに出た方がまだすっきりとした気持ちで第二の人生を歩めたかなあと思うこともあってですね、昔のことに少しでもかかずらわされるのは嫌だな〜と思って吐き出しておくかということで書かせてください。ワニも死んで良い機会ですので。

 

じゃあ後はだらだらと。

 

まず私が博士後期課程在学中、就職(企業)が決まったことを報告に母校の出身研究室の先生のもとを訪ねました。その際任期付き教員の公募が出ているという話になり、迷ったものの応募することにしました。通常、高専の教員のポストは任期の定めなし(パーマネントという)で公募が出ます。これが通常任期付きである大学のポストに比べて高専のポストのいいところです。しかしこのとき公募が出ていたポストは代理教員のため任期付きで、しかもテニュアトラック(まず任期付きとして採用し、任期中の成果によってパーマネント採用の審査をする方式)でもなく、なにより任期が短い募集でした。任期が短いと腰を据えて研究成果を上げることが難しく、結局他のアカデミックポストへ転職するにも困難になります。

 

そういう理由があったので研究室の先生はオススメではないから辞めておいたほうがいいという感じでしたが、私は母校で教員をやってみたいという思いがあり、任期中にパーマネントポストの公募が出ることを期待し、また現場で働くことこそが最大のアピールになるだろうという内心の目論見で、任期付き教員のポストに応募することにしました。

 

私が母校を卒業してからしばらく経ってましたからこの時の校長は私の知らない人だったんですけど、なんか方針の違いで母校OB教員(母校出身で母校の教員として戻ってきた人たち)と悶着してた?らしくてですね、OB教員は絶対採りたくない!っていうお気持ちだったらしいんですね。詳しくは知りませんけど。

 

なんですけど、前述のとおり条件がめちゃくちゃ悪い公募でしたので他に適切な候補者もいなかったらしく渋々採用してくれたみたいです。なお内定を頂いていた企業は当然ですが辞退しました。当時電話のこっち側で土下座して謝りましたけど、また重ねて謝っておきます。

 

そうこうして母校で教員として働くことになりました。仕事は楽しかったです。博士論文書きながら講義資料作って講義してレポート見てコメント付けて校務やって、というのはせわしないっちゃせわしなかったんですけど、やりたかった仕事ですしね。

 

例えばプログラミングなんてクラスでできる子は自分でプログラム書いてアプリ作ってる子もいれば、セミコロンって(キーボードの)どこにあるんですかっていう子もいるし、個別対応しかないんですよね。なんだお前ら高専来たのにそんなことも知らねーのか、みたいなマウントとるのって馬鹿だと思っていて、それを勉強するために安くない学費払って学校来てんだから、できない子はできるように、できる子が伸びていくのを邪魔しない。で今どき無料でもそれなりの教材が手に入るんだから教科書読んで終わりみたいな講義してたら学校滅びるし、結局ひとまずはレポートの内容スミからスミまで読んでサポートすることから始めるしかないかなと思ってやってたけど、そういうサービスも今はあるし、何ができるか考えながらやっていくしかないかと思ってたけどもう辞めちゃったしもうこの話はよしとしましょう。仕事は楽しかったということが伝われば幸いです。アカデミックポストの退職エントリだと研究する時間がとれないので辞めましたっていうのもありますけど、私の場合理由はそこにはないです。教員の仕事自体は楽しかったんです。

 

当時の学校の状況としては、OBとか関係なしにいろんな教員が校長に対してネガティブな感情を抱いているという感じだったと把握してます。僕が赴任する前に色々あったんでしょうね。でも僕のスタンスとしては、僕が直接何かされたとか迷惑被ったわけではないんでフラットに仕事していきたいと思います、ということは比較的落ち着いて学内の状況を見ていた先生には言ったことがあります。

 

でも校長の方はフラットに私を見るつもりなんてなくってですね、まず新任教員歓迎会で帰りしな私にかけた言葉が「任期の途中でも構わんから(さっさとこの学校から)出て行けよ」でしたもんね。まあ任期の責任とか気にしないで就職活動しろよという意味だった、という風に言い訳されると思いますけど、そのとき近くにいた他の新任の先生結構ドン引きしてましたよ。私も風の噂でしか聞いてなかった``校長何が何でもOB教員採りたくない説''をはっきり認識しましたね。

 

そうこうしてるうちにですね、母校でパーマネント採用の公募が出ました。当時働いていた学科とは違う学科ですけど、分野・担当予定科目も自分の守備範囲に収まっていたので、ここまでは運が良かったです。

 

時系列的にはその次に校長面談があってですね。これは校長と各教員がその年度の目標だとかを話し合う、まあ普通の会社でいう人事考課面談みたいなものですかね。つまり当時の任期付き教員の仕事としての面談です。だから私も特にその時出ていた公募については何も言わなかったです。職務と関係無いですから。そしたら校長の方からポストは探してるのかって聞いてきて「うちでは公募出せるかわからんからな」と言ってきました。すでに母校のHPでもJREC-INでも母校のパーマネント採用の公募が見えるようになっているにも関わらずですよ。なんぼ採用したくなくてもそんなすぐばれるつまらない嘘つくか普通?なんだろう、ウソつくのやめてもらっていいですか?(嘘というよりかは俺は絶対に採用しないから他所に行けよってメッセージだと思いますけど)

僕の考えとしては公正で疑義のない選考を行うなら公募出てるよというのも変ですけど、公募出してるのに出てないみたいに虚偽の情報を伝えるのはもっと駄目だと思うんです。「不当に他の大学や研究機関へ就労することを勧めたり又は公募情報を提供したりすること」「就労に関し正当な理由がないにもかかわらず不利益を与えるような言動を行うこと 」はパワーハラスメント(またはアカデミックハラスメント)の典型例ですからね。

 

明らかに校長には嫌われてるし、見込みは薄いなあとは思いながらも公募には当然応募しました。書類選考さえ通って面接さえ行ければ、模擬授業の出来や熱意だとかを他の候補者と比較して明らかに優れてると見せることさえできれば、校長以外の選考委員の教員も見るわけですから「この内容ならOBというだけで不採用にするのは無理がある」と判断させられる可能性もあると思ってたんです。例え僕が不採用でも正当に評価した結果僕より優れた他の候補者を採用できたんならそれはそれで学校には良いですしね。問題は書類選考で落とされるケースですけど、でもまあ適正な手順を踏んで結果が出たのであれば別に構わなかったんです僕は。採用の評価基準に一候補者が口を出すことではないですからね。

 

そう思ってまずは書類選考通るか通らないかだな、と思って待ってたらですね、いつまでたっても通過とも不通過とも通知が来ない。

 

僕自身は学内の人間でもありますから誰が採用人事に関わってるかもだいたい把握してましたけど、だからといって聞きに行くのは不正くさいなと思って可能な限り接触しないように気を付けてたんですね。普通文書なりメールなりで通知が来るだろうと思って。ところが公募要項に「X月に面接審査を予定しています」的な文言があるのに(X+1)月になっても音沙汰がない。

 

いまどきサイレントお祈りかよと思っていたら職務中に校長から要件も告げずに「伝えたいことがあるので至急連絡されたし」みたいなメールが来てですね。公募の結果のことだろうとは思いましたけど、公募のことって任期付き教員の仕事じゃないから職務中に呼び出すのはおかしいと思ったんですよね。これわかってもらえるかわかんないんですけど、例えば当時の私の立場で他の高専の新規採用の面接を受けに行きますから出張旅費と日当くださいあとその日は一日いません、って言ったら「いやいや職務じゃないから有給とって自腹で行きなさいよ」ってなると思うんですよね。昇進試験とかテニュアトラックの審査とかなら職務の範疇でしょうけど、完全に新規採用で他の候補者と何の違いもなく書類出してるわけだし。提出書類に研究室の予算で買った紙を使うのも厳密には横領だよなあと思ってわざわざコンビニで印刷しましたからね。

 

まあとにかく要件もわからないので職務のことの可能性もありますから行ったらですね、校長は「(採用から)漏れたっていうのは誰かから聞いた?」と言ってきました。どこからも正式な通知はないですねと言ったら執拗に誰かから漏れ聞いてないか聞いてきましたけど、情報を漏らした人を処罰する気ででもいたんですかね?

とにかく連絡がないということで把握してますと答えてたら「面接せんでもわかってるから(面接に呼ばなかった)」「そういうことだから今回の結果は納得して欲しい」という話でした。

 

で、まず

・僕としては結果は人事権のある人が決めることだからどうこう言うことでもない(腹は立つけど抗議できる理屈はない。落とした理由が例えOBだからであってもまあ仕方ない)

・別に校長が僕を採りたくないことは前の面談のときに公募出てるのに出せるかわからないって(嘘を)言った時点でわかってましたから

ということを伝えたところ、公募出せるかわからないって言ったあの時はまだ機構に公募を出していいか聞いてる段階だったから〜みたいなことを言い訳しだしたので、ちゃんと公募がHPに出てましたよ、と指摘はしました。そしたら意図的にそういうことを言ったつもりはないみたいなことをほざいてましたけど。下衆が。

 

その時点で僕が納得いってなかったのは選考プロセスで自分だけよくわからない(書類は通過扱いだけど面接はしなくてもわかってるから呼ばなかった?)扱いを受けてたらしいことと通知がなかったことなんです。書類選考が不通過とも言われてなけりゃかといって面接にも呼ばれてない。いまのいままで何の連絡もなし、しかも校長は先週は時間とれなかったし昨日も出張してたから連絡遅れちゃったみたいなこともその場で言ってたので、採用者が決まってからしばらく経ってから呼び出したらしい。だから書類選考が終わった時点と採用者が決まった時点で不採用を決めた人には連絡出してないんですかということを聞いたら「僕は出してないと思う」「ここ(この学校)の慣習だと思う」みたいなことを言うので、いやいや校長が通知出してるか出してないか知らないってことはないでしょうってつっこんだら「だから僕はしてないと思うって言うてんねん!!」とか言ってちょっと怒りだしたんでまあ校長がそう言うんじゃしゃーないかと思って引き下がりました。

つまり校長の説明では、書類面接問わず落とした人には連絡していないけど、僕だけは(遅くなったけど)特別呼んで説明したっていうことらしかったです。

 

なによりこの時点では僕はまだ母校や他高専の教員になることを諦めきっていなかったし、校長も「ほかの高専に行くなら推薦してやる」とか「○○先生を××高専から採る時も向こうの校長に電話かけたからな、君がよその高専受けたら俺に電話かかってくると思うわ」みたいなことを言っていたので、暗にこれ以上うるさいこと言うならお前の就職を潰すって意味かなと思ってですね、黙っちゃいました。純粋に就職を応援して言ったんだよって言い訳するかもしれませんけど、これだけ陰に陽に嫌がらせされてて「わあ、応援してくれるんですね、ありがとうございます!」って思えたらお人好し通りすぎて馬鹿だろ。

今思えばこの時点できっぱり高専の教員になる気を捨ててもっと喧嘩しておくべきだったかもしれませんね。

 

でその場は不完全燃焼ですけどひとまず終えました。でもどうしても通知がなかったのは納得いってなくてですね、風の噂や聞き取りで調べたところでは結局、

・書類選考で不通過の人にはその時点で通知済み

・面接が終わって採用者が決まった時点で(私以外の)不採用だった人には速やかに通知済み

・私への通知に関しては会議の場で校長が「俺から本人に連絡するので通知は出すな」ということで決定したらしい

ということがわかりました。

 

嘘じゃねーか!と思って採用関係の書類とかの窓口になっていた人事係に「校長から説明されたことと齟齬があって、他の人に通知が正式に出てるなら俺にだけ出てないのはおかしいから校長に言って出してくれ」と言いました。

 

次の日に通知(メールでPDF)来ましたね。校長の名前入りで。なんで落ちた通知もらうのにこんな疲れなきゃならないんだ……特に校長から補足はなかったですけど、やっぱり他の人にはちゃんと通知出してたし当たり前だけど把握してたってことですよ。なんでつまらない嘘つくの。

 

でもこの通知を遅らせていい理由はないと思うんです。だって「あっちの一次選考の結果が何日くらいに出るからそれまで回答を保留させてください」とか就活ではよくあるじゃないですか。それ抜きにしても本当に校長が言うとおり全員に出してないならわかるけど、少なくとも特定の誰かにだけは送らないっていうのは許されないと思うんです。校長自身がよく言っていたことですけど税金が入った場所で働くものとしておかしいでしょ(営利企業であれば僕も候補者ごとに違う取り扱いをしててもなんとも思いません)。

 

とにかくね、疲れました。まあ、面接までいったらなんとかなるかもしれん、とか意味わからん希望を勝手に抱いた僕も悪いでしょう。でもね、面接しなくてもわかるってなに?選考委員の中には僕の授業を見たことある人もいないし、僕と教育論について話し合ったことのある人もいない。一年前に任期付きのポストの採用面接で模擬授業見たから見る必要ないと思ったんでしょうか?学校で常勤として1年間働いて授業や校務をやることは人に何の成長や変化ももたらさないと思ってるんでしょうか?自分たちの仕事を舐めすぎじゃないですか?

 

校長だけじゃなくて選考に関わった教員全員馬鹿じゃないのか。誰か一人でも「いや一人だけ違うプロセスで評価するのはおかしいでしょ」とか「書類を通すなら面接する、通さないなら不採用で通知出すのが筋でしょ」とか言う人はいなかったんでしょうか。校長は書類で落としたかったけどカドが立つからわけのわからない落とし所に落としちゃったのかもしれないし、やべえ奴しか応募してこなかった場合の体のいい滑り止めキープ君に使ったのか知らないけど、とにかく僕の考えではこの選択肢が一番ない。

 

一応言っておくとこの辺の意味わからん会議には学科長は関わってないらしいです。この公募の赴任先の学科長は僕のことをよく知っていて推してくれてたみたいで、結果として選考に関わる会議や意思決定からは校長の意向で外されたみたいです。現場の責任者を外す意味がわかりませんが。内規も都合のいいようにねじ曲げてるよね。

 

たぶんそのバカ会議に出てた馬鹿どもには理解してもらえないかもしれませんけど、別に落とすのはいいんです。さっきも言ったようにそれは人事権のある人で決めることだから。候補者が口出すことじゃない。だけど選考や通知の手順を捻じ曲げないでよ。別に僕もこの業界の採用が真実ただ能力のみで公正に決まるとは思ってないけど、選考プロセスを好きに捻じ曲げるのは駄目でしょ。形式だけでも守ろうよ。候補者全員に同様の事務手続きをするっていう当たり前のことも守れないわけ? How dare you!

 

ほんと疲れたんだけど、任期付きのポストで赴任する際に、「パーマネントになれるかなれないかどういう結果になろうとも引き受けた仕事はきちんと(腐ったりせずに)やり遂げよう」ということだけは心に誓って仕事についたので、何事もなかったように仕事しようと思いました。

 

でもまあ〜パフォーマンスの落ちること落ちること。講義資料も0から作るんじゃなくて前年から少しの改善でいいし博士論文もないしで絶対楽になってるはずなのに、レポート見るのもおっつかないし学生の前でも情けない姿は見せるしでもう駄目駄目。自分がこんなにメンタルをパフォーマンスに影響させてしまう奴だとは思わなかった。

 

そしてそうこうしてたらなんかその公募で採用にした人がしばらくたってから辞退したとかで再度公募が出たんですよ。大学かどっかの滑り止めにしたんですかね。そういうの見抜く目もないんだもんなあ。結果論から言うのはずるいけど、見る目ない馬鹿どもなんだよね。無能。

 

僕はほとほと疲れてたんでやる気はなかったんですけど、結論から言えば応募しました。でも今回は採用となったとしてもやる気の問題で辞退するだろうなとは思ったので学内で僕のことを応援してくれてた人には例え機会があったとしてもわざわざ僕のことは推さないでください、多分採用されても断るんで、ということだけは仁義を切ったつもりです。

 

そしたら今度はですね、面接に呼ぶ通知が来ましたね。前回の時点で面接に呼ばなくても能力わかるって言ってたんだから、もっと観察する時間が増えた分尚更面接する必要ないだろと思いましたけど。自分の言った理屈も理解できんのか。

 

一部の人には面接ブッチするんじゃないかと心配されましたけど面接行きました。やる気はないなりに普通に受け答えしました。クソみてえなつまらねえ杓子定規な質問しやがってとは思いましたけど。なるほど人を見る能力がないから面接しなくてもわかるみたいなことがぬかせるんだな〜とは思いました。オヤジの金玉の中から人生やり直せ。

 

見る目がないから俺にやる気がないことも見抜けない。今度は採用内定という連絡を受けました。

 

やる気ないながらも再公募に応募したのはですね、(再度落とされる可能性は十二分にあるにしても)もしいざ採用されたら惜しくなってやっぱりやります!って自分は思うんじゃないかなってちょっと思ったからなんです。

 

でもね、欠片もやる気にならなかった。なにもときめかない。こんまりじゃなくても捨てるわというくらい。

 

いやまあホントに何も惜しく思わなかったかと言ったらそりゃそんなことないですよ。だってこんなの逆転満塁ホームランですよ。まずパーマネントの公募が出るかもわからないのに飛び込んで、運良く公募が出て、でも校長に嫌われてるからわけわからん落とされ方して、でも再公募になって、結局校長の強権を捻じ伏せて採用内定出させたんだから。それにパーマネントのアカデミックポストの価値がわからないほど馬鹿でもないですし。

 

なによりあまり大きな声で言ったことはないですけど、母校の教員になるのは10年来の夢でしたので。高専3年くらいになると学校への批判心が芽生えるじゃないですか。「なんでこの学校の人はこんな教え方しかできないんだろ」「俺だったらこういう講義をする、こういう教員になるのに」(ことわっておくと先生がどんなに頑張っても学生は勝手にこんな風に考えるものですから、誰か先生を批判してるわけじゃないですよ)……僕が学生だった頃から「もしかしてこの学校は寿命なんじゃないか?」みたいなことは考えることがあって、大学全入時代(実際には50%台だと思いましたが)と言われて久しいこのご時世に地域のトップ層の中学生集めておいて中堅技術者を育てるみたいな看板掲げるの然り、高専という制度にもいろいろ歪みが出てきてるでしょうしね。でもまあもし母校に教員として戻ることがあったら、多少はまともな人間にしてもらった恩もあるし(これでもまだデフォルトに比べればまともになった方なんです)、せめて学校の寿命を10年は伸ばしてみせようと思って。赴任してみても、学生は自分が学生だった頃と相変わらず似たようなことで悩んでたりするし、何がしか力になれないもんかとは思いましたし。

 

でも駄目でしたね。内定お断りしました。

 

だって無理ですよ。任期付きのポストに来るときはこういう授業をするんだこういう教員になろうとかヴィジョンがあったけど、何も思い浮かばなかったですもん。だいたい顔見るだけでイライラする人たちと一緒に働けないですよ。

 

慰留してくれる人はいましたよ。でもね、あの校長もあと1,2年でいなくなるだろうから、みたいに言われても、まず1年だろうとああいうクソの下では働きたくないし、選考に関わってた人たちもクソだとわかってしまいましたからね。中には僕が学生時代に科目教わった人もいますけど、学問に罪はないのはわかっててもあいつらから物を教わったことすら恥だと思う。まああいつらがこの文に目を通すことはないだろうけど、もし見る機会があったらお前らはかつての教え子で任期付きのポストでも学校に戻ってくる程度には学校に好意的だった人間から、苦しみながらくたばれって毎晩祈られる程度にはくっだらないことしたんだって自覚しとけよ。

 

そんな小さなことの何に怒ってるの、って思う人の気持ちもまあわかる。何時間も怒鳴られたとかじゃないからハラスメントでもなんでもなくない?、とか、もっとひどいこといっぱいあるよとか。客観的には小さいことかもしれない。でもこっちは自分の人生30年かけてるし、関わった学生のその先の人生向こう40年に責任が発生するって覚悟で応募してるんですよ。その頃には墓の下入ってるジジイどもの気まぐれで書類ゴミ箱に捨てられるような真似されて怒らずにいられるかよ。

 

私も人に謝らなきゃならないことだってしてきた人生ですからなにかの因果応報でこういう目にあったのかもしれませんけど、それでお前らが許されるわけじゃないからな。

 

僕裏ではクソみたいな扱いを受けたりしつつも表面上は何事もなかったように仕事してたつもりなんで、教員の飲み会とかも参加してたんですけど、複数人で飲み会やってればまあ当然「うちで公募出てましたけど、先生はあれ応募されたんですか」みたいな話になりますわね。だから面接もされずに落とされたどころか通知すら差し止められてましたわ、みたいな話をしたら選考に関わってた人が「いやそれは昔からそうだったと思うよ」みたいな口裏合わせてんのかただの馬鹿なのか舐めたこと言うもんだから、「こっちは人事にも俺だけ差し止められてた確認取って後から通知改めて出させてるんだよ適当なこと言うな」ってちょっと怒りましたよね。酒の場の空気を悪くして申し訳なかったとは思う(他の先生からしたら突然僕がキレたみたいに見えたでしょうしね)けど、あいつにハイボールぶっかけて店出てくりゃよかった。くたばれ。

 

再公募の内定辞退したあとで選考関わってたまた別の人が「なんで辞退しちゃったの」みたいなこと言ったので、一回目であんなクソみたいな扱いしておいて受けるわけないでしょ、って話したら「校長は会議の時は自分が(選考プロセスの扱いについて僕に)説明するって言ってたけどな〜、あの人もルーズだよね〜」とかぬかしてたけど、お前も無責任なんだよ。お前らがそうやって馬鹿だから足元見られて校長も好き勝手してるんだよ。候補者全員に同様の事務手続きをするっていう当たり前のことくらい守らせろよ馬鹿……まあまともなこと言う人は校長が選考委員とか上層部から遠ざけたという背景はあるだろうけど。ほんと情けない。責任と恥を知ってくれ。

 

僕の感覚では校長を筆頭とした無能な選考委員のせいで採用に失敗した(人を採れない)っていうのは仕事できなくて学校に損を与えたってことになると思いますけど、自覚はないでしょうね。人件費減らしたいから採用できなくてラッキーって思ってるかもしんないですけど。

 

でも校長はクソだけど、一応同情するところもあるとは思っていて、キャリア志向は高いのに器じゃなかったんだろうなあと思っていて。この人の下で働きたい、この人の言うことなら信じてやってみよう、って思わせてフォロワーを作ることができないタイプの人だったんだと思います。ボス猿にはなれる可能性はあっても人間のリーダーにはなれないタイプっていうか。もう僕が働いてた頃の学内って、例え校長が正しいことを言っても反発される、くらいの機能不全な状況になってたんじゃないですかね。だから校長も頑なで強権的になってなお嫌われる、みたいな負のループができていて。だからまあそういうリーダーとして無能だったことには同情します。遂行不可能なことをやらなきゃならないのってストレスだと思うんで。

でもやっぱりある程度の立場になったら無能も罪だとも思っていて、経営者とか政治家とか、頑張ったけど駄目だったわメンゴメンゴ、で許されないじゃないですか。結果論で評価されるものでしょう。だから校長も自分の無能に気付いたらいさぎよく引退して欲しかったなあとは思います。まあそれができないから無能なんでしょうけど。そんなんだから自分の人生のキャリアの最終地点に来てあれくらいの規模の組織のトップに立っても駐車場に番号入れるくらいのレガシーしか残せないんですよ。しかもそれすらも皆にやいやい言われながら。

 

あげくにはよそでハラスメント問題起こした人を人事交流でねじこむみたいな話も出てくるわ、しかもその人が校長と同僚だったとか。OBは良くないってのはそういう身内びいきをするだろうからってこと?自分が下衆だからって他人も同様に下衆だと決めつけないで欲しいな。なぜ他の人間までそうも無造作に同列にひきずり込んで考えられるんだ?恥知らずめ。

 

まあ校長も所詮は機構との中間管理職だから上意下達は仕事でしょうけど、そればっかりやって現場の意見や状況を上に伝えるチャネルになる能力がないなら部下にそっぽ向かれても仕方ないでしょう。

 

ただ何を言ったところで負けたのは私です。当初の予定通りいかなる手を使ってでもパーマネント採用はしないという目的を達したのは校長、目標を達せずに辞めたのは私。こんな負け犬の垂れたクソみたいな気分を抱えたまま生きていかなけりゃならないのかと思うと嫌気がさしますね。うーん、勝ちたい。

 

辞めた理由としてはあいつらと一緒に働きたくない他に、自分に嫌気がさしたのもあります。メンタルはパフォーマンスに影響させちゃうし、「人間の好き嫌いで仕事をしない」がポリシーだったのに、そうできそうもなかった。一応言っておくと任期の間一貫して上司としての校長その他の人の指示に従わなかったことはないですよ。でもある時、クソみたいな扱い受けた後〜再公募の前の時期のある日の定時後、仕事片付けて丁度帰ろうと思ってたタイミングで選考に関わってた人(僕の校務の上司)から電話がかかってきて「非常事態でちょっと急遽仕事してほしい」って話だったんですけど、咄嗟に「僕以外に頼める先生誰か残ってないんですか?」って言っちゃいまして。非常時の対応なんて経験積ませる意味で他の若い(来年以降もいるパーマネントの)先生にやらせるか、ベテランで慣れてる先生に頼めばいいのになんでわざわざ俺に頼むんだよと思って。でも、学校の非常事態って最悪学生の命に関わるケースもあるし、こういう応答したのはよくなかったと思う。自分でも後でそう思ってショックだった。残念ながら自分も無能で(クソどもよりマシだと思ってるけど)、自分に教員続ける資格はなかったかと思ったのも事実。

 

多分内定受けて残ってたとしても、ことあるごとに「○○先生は面接なんかしなくても人間を評価できるらしいですからね、学生との面談なんて必要ないんじゃないですかあ?」とか嫌味言いそうだし、例えば校長が(珍しく)正しいことを言ったとしても素直に受け入れられない、とかありそうだな〜と思って。人間の好き嫌いで仕事をしないってポリシーを守れず、目指した教員になるのは無理そうだなと思ってしまって。

 

なんにしてもとにかくホントに疲れたので、フォロースルーでなんとか任期が終わる(有給消化に入れる日)まで耐えて仕事を辞めて四国へお遍路に旅だった次第です。

 

お遍路は良かったと思います。無心で歩くことで気分も晴れて、切り替えてこれで次の人生も歩いていけるか……と思ったんですけど、途中、恩師が事故で亡くなったという急な知らせが入りまして。

 

先生はですね、僕が学生だったころ無理言って研究室に入れてもらったりして大変お世話になったし、任期付き教員として戻ってきてからも何かとサポートしていただいて、クソみたいな扱いをされた後はカウンセリング相手になってもらいましたし、先生のところに挨拶に来たのが赴任のきっかけになったからか「嫌な思いさせて悪かった」とおっしゃられて、「僕もいい大人だし自分で決めたこと、自分の人生のケツくらい自分で持ちますよ」と本心から言いましたけどそれでも気に病ませてしまって。とにかく、形式的ではなく「恩師」と呼ばなきゃならない人だったんです。

 

再公募の内定が出た後で顔を合わせたときに、今度は内定出ましたよと言ったら「でも断るつもりなんだろ?」と言われて、やっぱりよくわかってらっしゃるなあと思いました。もし仮に私がその内定を受けていたら先生の持っていた研究設備とかを引き継ぐことができたと思うので、それが内定断るのが申し訳ないと思う要因ではあったんですけど、「俺の研究室がどうとかはいいから、自分のキャリアのことだけ考えて決めな」とおっしゃられました。人間ができているというかなんというか。

 

年度末に慰労会をやったときには、私も仕事を辞めるので今生の別れになるかもしれないなんて冗談も言いあったものですが、まさか本当にそうなってしまうとは思っておらず。

 

事故にあうかなんて、その日の朝右足から歩き出したか左足から歩き出したかでだって変わっちゃいそうじゃないですか。

先生は人間ができているから「俺の研究室がどうとかはいいから」とはおっしゃられましたけど、そうは言っても渡世の義理ってもんがあるじゃないですか。あれだけ世話になってて、僕が研究室引き継いでれば先生の研究だって引き継げたし先生がたまに学校来たときの暇つぶしの場所にもなったでしょうし、色々あったけど結局は採用されて良かったね、で気に病むこともなくなったかもしれないし。私が引き受けてたら事故にあわなかったかもしれないとは思わずにはいられないでしょう。辞めたことを後悔はしてないけど、先生には申し訳なかったとは思うんです。

 

僕は今は元気にやってます。せめてその報告はしたかった。

 

どう生きていったらいいのか今も迷うことがないわけじゃないですけど、とにかく今はおかげさまで元気です。新しい生活ではまだ何も成し遂げられていないので書けることがありませんけど、こうやって昔の仕事の退職エントリは書いたのでなおすっきりとして生きていけると思います。負けない。勝つ。必ず勝つ。

 

では。